今回の記事は、
スイスの雑学について紹介します。
今回紹介するのは永世中立国で有名なスイスです。
スイスと言ったら永世中立国やアルプスの少女ハイジを思い出す人も多いと思います。



何となく平和で自然あふれるイメージのスイスですが、実はナチスのヒトラーですら侵略を断念した超要塞国家というのをご存じですか?



そしてアルプスの少女ハイジを優しく見守るオンジは「世界に恐怖を抱かせたスイスのエリート元傭兵」だったという公式設定があります。



本記事ではスイスが永世中立国で居続けることのできる何重もの準備した「要塞要素」を9つご紹介します。
スイスってどんな国?



まずスイスについて簡単にご説明します。
ヨーロッパの内陸国
スイスは中央ヨーロッパに位置する内陸国です。
スイスの周りにはイタリア、フランス、ドイツ、チェコ、オーストリアなど過去の世界大戦で列強国と呼ばれた国に囲まれています。
国旗
スイスの国旗は赤地に白い十字が描かれています。
ちょうど赤十字マークと真逆の色合いをしています。




赤十字マークと似ている点も日本人からすると平和で優しいイメージがするよね。
国土



アルプス山脈が国の大部分を占めており、国土はちょうど日本の九州ほどの大きさです。
アルプス山脈のほかに美しい湖や山々が多い為、観光地として人気があります。
人口



スイスの人口は800万人の国です。
先ほどほぼ同じ国土面積をしていると紹介した九州と人口も比較してみます。
すると日本はスイスより1.5倍以上の人口が同じいることが分かります。




九州も自然に囲まれてるけど、スイスと比較するものじゃないね。
永世中立国について
スイスは世界で初めての永世中立国です。
永世中立国の概要
永世中立国とは国際戦争や紛争において、いかなる軍事同盟にも加わらずどちらの側にもつかないことを一貫している国のことを指します。
自分たちから決して攻撃を仕掛けない点は日本と似ていますよね。
スイスは1815年のウィーン会議で永世中立を宣言しました。
永世中立国がよく勘違いされる点
確かにスイスの永世中立国は、スイス自身から攻撃を仕掛けることはしません。
しかし相手がスイスに侵入してきた場合は別です。
スイス国内に侵入したり攻撃された場合は、相手が誰であろうと反撃をするのがスイス流です。
恐ろしいのはその反撃の一貫性です。
たとえ観光ジェット機でもスイスの領空を侵害したのであれば問答無用で撃ち落とすスタンスです。
これぞ「永世中立」という名のもと、相手がどんな見た目をしてても中立という一貫性で排除するというのがスイス流であり、勘違いされやすい点です。
守りに全集中できるスイス
スイスは永世中立国なので他国を攻撃や侵略する行為は一切できません。
言い換えるならスイスは100%兵力を守りに使うことができるという意味にもなります。
その為、スイスは何重もの要塞要素を準備し、「敵が攻めるのを躊躇するような仕掛け」を国全土に施しました。
これこそ守りに全集中できるスイスが要塞国家と言われる由縁です。




それではどんな要塞要素があるのか1つずつ見ていきましょう。
【要塞要素1】列強国の緩衝材



スイス要塞要素の1つは、ずばり列強国の緩衝材です。
ポイントは「スイスがヨーロッパのどこにあるか」です。
上記の画像のように、スイスは戦争で強かった列強国に囲まれています。
左からイタリア、フランス、ドイツ、オーストリアがスイスを囲むような形で配置されていますよね。
スイスからしたらまさに四面楚歌状態。




東西南北どこからでも侵略されちゃうじゃん!




いいえ。スイスはこの逆境を逆手に取ったのよ。
スイスはこの状況を逆手に取ります。これこそ1つ目の要塞要素の列強国の緩衝材です。
列強国のジレンマ



世界大戦時のヨーロッパは、侵略戦争の繰り返しです。
列強国なら当然侵略するために兵士を前線に多く配置しますよね。
ただ全部の兵士を導入するわけにはいきません。
自国の防衛力が落ち、他国から逆に侵略されてしまうからです。
侵略すればするほど守る土地が広がり、防衛力にそそぐ兵士の数も増えます。
しかし侵略するために前線に兵士をできるだけ多く配置したい。
この状況を列強国のジレンマと言います。
さらに隣の国が同じ列強国なら、なおさら過激化するのは必須です。
そういう状況にある列強国がスイスを境に配置されているのです。
ex)フランスがスイスを侵略した場合
仮にフランスがスイスを侵略したとしましょう。
スイスがあった時、フランスと隣同士になっている列強国はイタリアとドイツだけでした。
隣同士と書きましたが、スイスがあることで一部地域しか隣同士にはなりません。
スイスがフランス領になったとしましょう。
するとオーストリアと新たに隣同士になる上に、イタリアとドイツと隣接する国境範囲も数倍広くなります。
確かにフランスの領土は広がりましたが、それ以上にリスクが大きいわけです。
ここにスイスは自国の存在価値を見出します。
スイスが他の列強国の緩衝材となり、だれもスイスを攻め入ることができないのだと。
以上のことからスイスは列強国に囲まれていながら、列挙国同士の緩衝材になっているのをうまく活用して侵略されないよう見えない要塞を築いています。
【要塞要素2】インフラの爆薬



スイスのインフラには約3,000箇所もの爆弾が仕込まれています。
これはスイスを侵略しにやってきた敵国の足止めをするためです。
大自然のスイスならではの防衛策



スイスの大部分はアルプス山脈が占めており、隣の町に行くためにはインフラ設備が必須です。
鉄道や高速道路、橋など各所に合わせたインフラが配備されており、スイス市民にとって必要不可欠な存在です。
スイス市民が必要なインフラなら、侵略してくる敵兵にも必要なわけです。
そんなインフラを爆破し切り捨てることで、ほかの町への侵略を鈍化させることができます。
【要塞要素3】高速道路



スイスの高速道路は緊急時に滑走路として代用できるように、できるだけ直線で建設されています。
高速道路中央に「セパレーター」がありますよね。
スイスではこのセパレーターを簡単に取り外すことができるようになっています。
このようにスイスは時刻の地の利を最大限に生かすことで内陸国では生命線となる飛行手段の保険を高速道路を代用することで保管している要塞要素前提で作られています。
【要塞要素4】トーチカ



スイスには至る所に「トーチカ」が配備されています。
トーチカとは、コンクリートで作られた砲撃兵器です。
敵からの攻撃を迎撃するために設計されています。
しかもこのトーチカ、スイスの自然に「擬態」しており、一見するとトーチカがあるなんて誰も想像できません。



農場小屋に擬態したり、岩に擬態したりして敵から正体を隠し、反撃を受けないような工夫がされています。
万が一スイス国内に侵入されても至る所に擬態したトーチカから反撃の一発をお見舞いできます。
【要塞要素5】竜の歯



スイスには敵国からの侵入を防ぐために「竜の歯」と呼ばれるコンクリートの障害物を多数設置されています。
「要塞要素2」で紹介したインフラの爆破に関する防波堤がこの竜の歯です。
インフラを爆破し、敵国が橋や道路から侵入できなくなったとしましょう。
そうなると敵国はインフラ設備を利用するのを諦めて自然広がる獣道を進むしかありません。
獣道は舗装されておらず、戦車はおろか人間でさえ進むのがやっとの道のりです。
そこへとどめの一手として竜の歯を設置することにより戦車や装甲車などの戦闘車両の進路を止めることができます。
それだけでなくけもの道へのストレスが限界に感じた敵兵士たちの士気が大幅に低下させる効果があります。
【要塞要素6】核シェルター



スイスは2006年まで建物を建設する際は、核シェルターも作ることを義務付けていました。
なのでスイスのほとんどの家に核シェルターが付いています。
それだけなく、アルプス山脈の奥地に数百人単位で隠れることができる大型の核シェルターを作っています。
敵国からの攻撃や侵入を防ぐ防御策以外に、自国民を守る核シェルターを法律で義務化させ、列強国から突然やってくる大きな攻撃からスイス国民を守ることができます。
【要塞要素7】徴兵制



スイスは徴兵制を採用している国です。
男子はもれなく全員が徴兵制を受けることになります。
また女性も希望すれば入隊することが可能です。
スイス傭兵の歴史
スイスは昔から傭兵の文化があります。
スイスから傭兵として世界の大戦に参加し、その報酬を得ることを職業としていた人がたくさんいました。
世界中の大戦でスイスの傭兵が活躍することは、世界にスイスを敵に回すとこんなに強い傭兵がやってくるというPRにもつなげることができます。
【要塞要素8】ライン川の水源



スイスはライン川の水源という要塞要素を持っています。
国境を幾重にも無視して続くライン川の水源をもっているということは、水源以下の国へやろうと思えば報復行為ができるということです。
抽象的なので実際に起こった水害事件についてお話しします。
ライン川汚染事故



1986年11月にスイスの化学工場から流出してしまった水銀等の有害物質によりライン川が加工に至るまで汚染された事故。
魚類が大量に死滅したほか、水道水としての鳥水も一時停止されるなど、ドイツ、フランス、オランダなど下流の国々に甚大な被害を与えた。
スイスが意図的に流したわけではありません。
故意にではないにしろ、水源から有害物質が流れると、水源以下の国の生活や生態系に悪影響を与えてしまうというのが分かったと思います。
ライン川はリヒテンシュタイン、ドイツ、オーストリア、フランス、オランダなど国境を無視して流れている超長い国際河川です。




全長は約1233キロメートルだよ。
列強国含め、複数の国を流れるライン川の水源を所持しているスイスは、水源をもっているだけで、「スイスを侵略したら、報復行為で有害物質を流されるかもしれない。」という見えない要塞要素で圧力をかけることができるんです。
【要塞要素9】スイス銀行



最後の要塞要素はスイス銀行です。
皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
スイス銀行があることでヒトラーはスイス侵略を断念したともいわれています。
あのヒトラーの足を止めさせるスイス銀行にはどのような要塞要素があるのでしょうか。
それは自分たちの預金相手銀行という事実です。




ん?どういうこと?
ナチスの資金はスイス銀行に隠されていた
戦後、スイス銀行にナチスの資金が預けられていたという事実が発覚します。
これによりスイス銀行は非難されてしまいますが、そもそもなんでナチスは自国の銀行ではなく、スイス銀行に預けていたと思いますか?
その理由は2つあります。
- スイス銀行の守秘義務は世界屈指
- 永世中立国だから銀行が戦争で無くなる可能性が低い
スイス銀行は顧客の情報を絶対に守ります。
国からの開示請求だとしても、情報を渡すことはありません。
また無限責任制と言って、銀行のせいで被害を被った顧客に対し全額責任を負うという徹底ぶり。
この守秘義務と無限責任制により利用者は世界中に拡大したともいわれています。
世界の富豪らが資金を預金しだすと、国や大きな組織からの資金も預金されるほど信頼される地位にまで上り詰めます。
これらスイス銀行の運用に付随して永世中立国という要素もプラスに働きます。
いくら信頼や補償された銀行があったとしても、戦火で倒産してしまうところも少なくありません。
その点スイスは永世中立国なので、相手からの攻撃を受けない限り戦いになることはありません。
これによりスイス銀行は世界の権力あるところからの預金箱になります。
世界の権力あるところの預金箱になるということは、相手の財布を握っているようなものです。
ナチスもスイス銀行に預けており、万が一ヒトラーがスイスを侵略しようものなら自分たちの手でナチス自身の資金を消滅しかねない状況に発展してしまう可能性があります。
以上のことからスイスは世界中の権力ある財布を所持することで力のある所から目を付けられなくなるというライン川同様見えない圧力という要塞要素をスイス銀行という形で所持しています。



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