抹茶ラテ、抹茶スイーツ、抹茶プロテイン——その鮮やかな緑と健康効果で、海外での抹茶人気は過去最高に達しています。
しかしその裏で、日本の茶業界では今、静かな危機が進行中です。
目次
高齢化と後継者不足:誰が茶畑を守るのか?
日本の茶農家の約6割が65歳以上。若手の就農者は減少し、放棄される茶畑が増えています。
「抹茶で儲かるはずなのに、未来の担い手がいない」——多くの農家がそう漏らします。これは地方農業全体の課題でもありますが、需要が高まる今だからこそ、放置できない問題です。
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覆い栽培の負担と気候変動の影響
抹茶は、茶葉を石臼で粉末にした「碾茶(てんちゃ)」から作られます。
収穫前の2〜3週間、畑全体に覆いをかけて遮光し、旨味成分を高める特殊な栽培法ですが——
- 覆下設備の設置・管理に高コスト
- 集中豪雨や猛暑の影響で品質の安定性が低下
つまり、技術的にも気象的にも“難易度が高い茶”なのです。
海外需要と国内離れのギャップ
輸出市場では抹茶の単価が高騰。
農林水産省によれば、粉末緑茶の輸出単価は煎茶の約2倍。
アメリカやヨーロッパでは「MATCHA=高級健康食材」として根付きました。
一方、日本では若者の茶離れが進行中。ペットボトル飲料でさえ緑茶より紅茶・コーヒーが選ばれる時代です。
国内市場の縮小 vs 海外市場の急成長というアンバランスな構造が茶農家を迷わせています。
再生可能エネルギーと融合する新しい茶園モデル
希望もあります。
鹿児島や福岡などでは、営農型太陽光発電を茶畑の遮光として活用するモデルが登場。
これは、品質向上とSDGsを両立させる革新的な試みです。若手農家や地方自治体が関与し始めており、全国展開も期待されています。
日本の抹茶は、ただのブームで終わっていいのか?
抹茶は日本文化を象徴する存在です。
そして今、その“象徴”は世界に広まりながら、日本の生産現場では未来を模索しています。
このギャップを埋めるには
- 国産抹茶の価値を正しく伝える
- 茶農家の仕事に対するリスペクトを広める
- 若手が参入できる持続可能なモデルを創る
そんな視点が必要なのではないでしょうか。



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